第1章 不死川×夢主
鬼殺隊士の墓は基本2つある。
鬼殺隊本部にある墓と、隊士の家族のもとにある墓。
この日、風柱の不死川実弥は自分を導いてくれた兄弟子、粂野匡近の墓参りに来ていた。
不:(鬼殺隊の方は行ったから、あとは寺の方だけだなァ。ん?誰だァ?あいつは)
匡近の墓の方を見ると1人の女の子が墓に向かって何やらベラベラと喋っていた。歳は自分と同じくらいだろうか。
女:「ねぇ、お兄ちゃん聞いて!また私にお母さんとお父さんお見合いしろっていうのよ、もうこれで何回目?10回目くらい?いい加減諦めればいいのにね。…でもそろそろほんとに売れ残っちゃうかな…大人しくしてたほうがいいのかな…」
不:「なに、1人で墓の前でベラベラ喋ってんだァ?お前こいつのこと知ってんのかァ?」
不死川は墓の方を指さした。
女:「…?あなたこそ、どなた…?」
不:「俺が先に質問したんだァ。まず俺の質問に答えろォ。」
女:「私は、粂野匡近の妹の粂野です。はい!じゃあ次あなたの番ですよ。誰なんです?」
不:「妹なんていたのかァ。俺は鬼殺隊で匡近に世話になった不死川実弥だァ。」
:「鬼殺隊の方なんですか。今日はなぜ兄のお墓に?」
不:「命日には任務が入っちまうこともあるからなァ。命日付近の休みにいつもくるようにしてんだよォ。お前はなんでいるんだァ?家族なんだから命日に必ず来れんだろうがァ。」
:「命日じゃなくても、ことあるごとに私は兄の墓に来てますよ。嬉しかったことや楽しかったこと、面白かったことや、悩んでること。そんなことつらつらと兄に話に来るんです。」
不:「…仲良かったんだなァ。」
:「はい!優しくて、かっこよくて、賢くて、自慢の兄でした!もちろん今も自慢の兄です。何があっても、お兄ちゃんがこの世にいたこと、絶対忘れません。」
不:「俺もだよォ…。」
:「兄が鬼殺隊でどんな隊士だったのか教えてくれませんか?父と母は鬼殺隊のこと何も話してくれなくて…」
2人は場所を変えて、街の甘味処へいった。