第12章 番外編~選んだ理由~
『大丈夫か?』
実弥は優しい口調で桜雪を抱きしめて言った。
『大丈夫なわけあるかっ!!』
桜雪は顔を真っ赤にしながら怒鳴るように言った。
何も言わずに頭を撫でる実弥。
桜雪はそうされながら過去の事を思い出していた。
あの時…胸を触られた日の後日…
手のひらサイズの酒の入った瓢箪を渡されたっけ…
普段、素直に謝らない実弥が
〖あの時は悪かったなァ…〗
なんて言って渡してきたんだよなぁ…
今だってそう…何も言わずにこうやって頭を撫でてくれて抱き締めてくれて…
こういう不器用な優しさが好きなんだよね……
桜雪はこう思いながら実弥に抱き締められながら頭を撫でられることに身を委ねた。
その頃…
かまぼこ隊+玄弥は…
『なんか変なの見ちゃった気がするんですけどっ!!夢だよねっ!!夢なんだよねっ!!』
ガバッと目を覚ました善逸が叫ぶように言う。
『善逸…空気を読むって事を覚えようか…』
真顔で炭治郎は善逸の肩を掴みながら言った。
『はぃぃぃぃっ!!』
『お前…ホントにうるせぇな…』
その勢いに善逸は叫び声にも似た返事をした。
それに玄弥が面倒くさそう言う。
今日もそれなりに平和に日常が過ぎていった。