第8章 酒の呼吸
玄弥は桜雪の言われた通り舐める程度の酒を飲み、全集中、常駐の呼吸から身につけた。
才能がないと言われていたのに1週間で身につけた。
全ての呼吸もできるようになった。
『玄弥…凄いじゃんっ!!』
『ありがとうございます!!桜雪さんっ!!』
桜雪の言葉に玄弥は嬉しそうに微笑んだ。
『玄弥…酒の呼吸は…酔えば酔うほど威力も上がる。でもね…一つだけ…欠点があるの。』
桜雪は真面目な顔で言った。
『欠点??飲みすぎ注意とかですか?』
『違う…心が抉られること。そんな出来事があれば…極端に威力と瞬発力は落ちる…』
『え?』
悲しそうに言った桜雪の言葉に玄弥は理解した。
つまりは…桜雪は今はそういう状態だということだ。
思い返してみたら…木刀を使った稽古は桜雪ではなくて宇髄がしてくれていた。
『気づいちゃった?まぁ、気づくよね…自分の継子なら自分でやれって話しだし。酒は飲んでも呑まれるなって言うでしょ?人ってさ…不思議なもんで…気分の上がり下がりで酔えるか決まることがあるらしくて…今のあたしは酔えない。という事は…柱の中で2番目に強いってのも…今のあたしじゃ…嘘になってる。』
玄弥からすると、いつも無表情しか見たこと無かったが今の桜雪は悲しそうに笑っているように見える。