第29章 ついに…
その後はドタバタな毎日だった。
特別に育休を貰った実弥は桜雪と彩弥の世話をする。
『う〜…あー…お腹すいたのね~…』
桜雪は母乳があまりでない体質らしく、ミルクを足さないといけない。
母乳をあげてからのミルクは1時間程かかってしまう。
それが続いて寝不足気味となった桜雪の目の下にはクマが出来ていた。
『ミルクだけは俺にも出来るだろォ?お前は寝とけェ…』
実弥はミルクの入った哺乳瓶を桜雪から奪い取って言った。
『うん…ありがとう。』
桜雪はそう言って彩弥を実弥に抱っこさせてから布団に潜り込んだ。
『ほら…飲め…飲んだらいい子で寝るんだぞォ?』
実弥はミルクを飲む彩弥に優しく話しかけた。
一応はあの時も所帯を持った妻との子供の世話を沢山した。
だが、妻となった人も知っていたようだが愛していたかと聞かれたら愛してはいなかった。
実弥にとって…あの時の結婚は不死川という姓を残して…もしかしたら桜雪と来世で巡り会うことが出来たらという賭けでもあったのだ。
あの時の子供を愛してなかったわけではないが…桜雪との子供をこの手に抱いているとなるとあの時よりも幸せな気持ちになった。