第2章 気づいてしまった事
朝になって男に別れを告げて桜雪は屋敷に戻る事にした。
屋敷に戻ると任務の指令を鎹鴉が伝えた。
桜雪は着替えて酒の入っている瓢箪と日輪刀を腰に着けて任務に向かった。
『酒の呼吸…参ノ型…明鏡止水・狂月』
鬼は風のように早く動く桜雪に苛立ち始めた。
苛立ちでマトモな判断が出来なくなったところで隙をついて頸を斬った。
その後も鬼を斬っていく。
桜雪はその間もずっとイラついていた。
実弥への想いは届かないと思っている。
桜雪の今やるべき事は1つ…
鬼舞辻無惨を倒して…自分も死ぬ事。
桜雪の体には鬼舞辻無惨の血が半分ある。
鬼舞辻無惨の血の呪いからは何故か克服している。
だが、鬼舞辻無惨が死ねば…桜雪の寿命は数年となってしまう。
それでもいい…殺された母親と妹の敵討ちをする事だけが桜雪の全てだった。
敵討ちさえ、終わればそれでいいのだ。
それなのに…桜雪は恋をしてしまった。
その相手は…鬼嫌いで稀血の人だった。
苦しい…辛い…それでも…
とにかく忘れてやろうと桜雪は鬼に八つ当たりをするかの如く、任務に明け暮れた。