第1章 小さな店
カランコロン
店のベルを鳴らしながら入る。
ウォール・ローゼ内にある個人経営の喫茶店だ。
「いらっしゃいませ。あ、リヴァイさん。どうぞこちらへ」
長い金髪を横で一つの団子にしている女こそが店主である・リーベ。
俺より6歳下。
調査兵団に2歳上の兄がいる。
マッセル・リーベとか言ったな。
上位で訓練兵を卒業したらしい。
確かミケが褒めていた。
「お疲れ様です。いつものですか?」
「あぁ」
柔らかい笑顔を向けてから紅茶を淹れて菓子を皿に盛る。
一つ一つの作業に気品がある。
つい見入ってしまい、振り向いたが不思議そうな顔をしている。
「疲れてますか?」
「いや、大丈夫だ」
「無理し過ぎないでくださいね。倒れて店に来てくれなかったら寂しいですから…」
眉を下げそう言う彼女は男をその気にさせるには十分すぎる。