第4章 金魚の恋
杏寿郎の告白にはまた涙が溢れてくる。
自分の事をこれだけ想っていてくれた…
あの頃の自分と杏寿郎は確かに想い合っていた…
本当は、杏寿郎に縋り付いてしまいたい…。
杏寿郎さん…勿体無いお言葉…感謝致します。
ですが、私はもうではありません。
柚葉という、遊女…です。
貴方の隣に立つ資格など…とうに失っています…。
そう…この店に来て半年…。
禿というような年齢でもなかったは、
店に来て間もなく水揚げし、客を取ってきた…。
煉獄家の嫁には、到底相応しくない。
仮に杏寿郎が気にしなかったとしても、
彼が周りから何と言われるのか…
煉獄家の長男が遊女を身請けした。
そのような中傷を自分の為に受けて欲しくはない。
数多の男達の手垢にまみれた自身の身体を呪いながら、
杏寿郎に断りを入れるの胸は、ひどく痛んだ。
杏寿郎はしばらく黙っていたが、
自身の腕の中からを解放し、視線を合わせる。
…断る!!俺は君が好きだ!!
何を気にしているか分からない程鈍くはないつもりだ。
だが、そのような些末な事、俺は気にしない。
俺が一緒になりたいと思うのは、この世で君だけなんだ。
…っで、ですが、私は…もう……
生娘ではない…そう言おうとしたの口は
杏寿郎によって塞がれてしまった。
開かれていた口の中に杏寿郎の舌が入り、
自身の舌と絡めてくる。
普段、客からされて1番嫌な行為がこれだ。
見知らぬ男の舌が口の中を蠢く瞬間、鳥肌がたつ。
しかし、杏寿郎とのそれは違う。
絡めた舌からつたわる杏寿郎の熱。
触れたところ全てが痺れるように甘く、頭がぼうっとしてくる。
いつまでもそうしていたいと思うような心地よさだった。
その気持ちの良さに、自然と吐息に甘い声が混ざる。
ふ…ぅ…んっ…ぁっあ…はぁ……
まだキスしかしていないのに、
の身体の奥は、が経験した事のない程に疼き、秘部から潤いが広がっているのが感じられた。