第4章 金魚の恋
ー…
今日は、随分と冷えるな…。
揃いの隊服に身を包み、焔の紋様が目を引く羽織を羽織った煉獄杏寿郎は、今日も任務に出ていた。
無事に鬼の討伐を終え、帰路についていた煉獄は、
ふと、先日耳にした噂について思い出していた。
本来であれば、今頃自分は祝言をあげていて、
屋敷には長年共に過ごしてきた許嫁が妻として迎えられている筈だった。
しかし、任務で遠征していて戻った時には、許嫁ー… の父親から、買い物に出たきり戻っておらず、拐かされた可能性があると一報を受けた。
杏寿郎は詳しい状況を確認し、捜索をしようとしたが、どうにも父親からの話はうやむやな部分が多く、先方の希望もあり、婚約は解消しての事は忘れてくれと言われ、一方的に破談となってしまった。
しかし、その際の父親の様子が気にかかり、
杏寿郎は時間がある時はの行方を探していたのだ。
半年程経った先日、やっと有力な情報があったのだが…
それによれば、写真の娘とよく似た遊女を目撃した…というものだった。
…生きていてくれれば嬉しい…が…
もしそれが誤報でないとすれば、
どのような経緯で…。
1人考え込みながら歩いていると、
後ろから豪快に肩を叩かれて杏寿郎は転げそうになった。
なんだ!地味に難しい顔して、どうした?
この宇髄天元が話を聞いてやる、派手にな!
…宇髄か!よもや、そんなに顔に出ていたか?
出てたも何も、悩んでますって顔に書いてあるぜ?
冷えてきた事だし、酒でも呑みながらどうだ?
…すまない。お言葉に甘えさせてもらおう!
そうして、2人肩を並べ店を探し歩き始めた。
ー…
たどり着いたのは所謂遊郭であった。
もちろん、酒を呑んで話していくだけなのだが、
杏寿郎はもし万が一が居たらと思うととてもじゃないが落ち着いていられないでいた。