第2章 炎柱 お仕置き
ー…っ煉、獄…さん…?
君には少々、お仕置きをしなければ、な?
ー…
美しい春の桜が散り、長雨の時期も終わり、季節が夏を迎えた頃。
まだ初夏だというのに、この日は酷く蒸し暑かった。
ぅう…暑ーい!
は目覚めると暑さに顔をしかめる。
布団は遙か後方に蹴り飛ばしてあり、乱れた浴衣から覗く四肢には汗がじんわりとにじんでいる。
起き上がってみると、浴衣と汗ばんだ肌のつく不快な感覚にこれまた顔をしかめる。
一度、湯浴みをしよう。
は風呂に向かい、水を張ると、そのまま水の中へと入った。
冷たい水が心地よい。
汗を流し部屋へ戻ると隊服に着替えようとする。
しかし、いくら通気性がいいとはいえ、この暑さでこの隊服に袖を通す気にはなれない。
は鬼殺隊と呼ばれる、人を襲い喰らって生きている鬼といわれる生き物を退治する事を生業とする組織に所属している。
その中でも、最高位と言われている柱に先日就任したところだ。
今日も任務があるから隊服を着なければならない。
夜は多少涼しくなるだろうが、昼間がネックである。
ふと、は隊士になった時に渡された、
袖を通していない隊服を思い出した。
恋柱の蜜璃と同じデザインの隊服だ。
と蜜璃の師範である、炎柱の煉獄杏寿郎に支給された隊服がおかしいから袖を通さぬように言われ、ひとまず箪笥に入れていたものだ。
蜜璃さんは良くて、私は駄目って何でだったんだろう?
隊士になった時、はまだ15だった。
蜜璃は18になる頃に隊士になっていたと思う…から、今なら私にも着こなせるんじゃないだろうか?
そう思い、は蜜璃とお揃いの隊服を着て任務に出る事にした。