第14章 ブバルディア
side 五条悟
『んぅ〜っ!しゅっぱい.....っ!』
僕の部屋のソファーに座り、小さな顔をくしゃっとしながら言う桃花。
「どうしたの?」
そんなに可愛い顔しちゃって。
『このグミ、はーとの形でかわいいし、味も種類がいっぱいあって美味しいんだけどね、まわりに付いてるパウダーがすっぱいの!』
「へぇ。どれどれ?」
桃花が手にしている可愛らしい色の小袋からハート型のグミを一粒取り出し口の中へと放り込むと、しゅわりと酸味が一度に広がり、その後に甘い味が溶け出して口内をいっぱいに満たしていく。
桃花の好きないちご味だ。
「桃花はこのすっぱいのが苦手なの?」
『う〜ん。少し...?』
「それじゃあさ、こうすればいいんじゃない?」
袋の中からもう一粒を取り出して口に含み、まわりにコーティングされたパウダーを口の中で溶かしていく。
「はい、あーんして。」
桃花の顎に手を添えクイッと上を向かせて酸味のあるパウダーがきれいに溶けてつるんと甘さだけになったグミを口移しで送り込んだ。
『ふぇ...。あま〜い♡』
両手を頬に添えてふにゃりと笑う桃花が愛おしい。
その顔がもう一度見たくて、小袋からもう一粒を取り出し口内で甘酸っぱいパウダーを溶かしてまた口移す。
鳥の雛に口移しで食べ物を与える親鳥みたい...なんて思ったり。
「僕もあまーいの食べたいな。半分こしよう?」
甘さだけになったグミを舌の上で遊ばせている桃花を抱き上げて、今度は僕がソファーへと腰を降ろし向い合うようにして膝の上へと座らせ口付ける。
『...ん...。』
するりと舌を滑り込ませて一つのグミをふたりで舐め合う。
お互いの口内を行き来させ、何度も角度を変えてハートの形を溶かし合う。
口内の唾液がとろとろとしていちごの味でいっぱい。
じゅっと吸い上げて唇を離せば、淡くぴんく色に色付いた糸が僕たちを繋ぎ止める。
『...はぁ、さとる.....。』
「ふたりで食べるともっと甘いね?美味しかった?桃花...。」
とろんとした顔しちゃって可愛いね。
このまま食べたくなっちゃうな。