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呪術廻戦 -桜色の瞳-

第13章 イベリス.. *




『.....はぅ.....。』

任務の帰り道、森の中をとぼとぼと歩く。
呪術高専一年生。
けれども二級術師の恵と私は単独の任務をこなすことを許されている。

そんなに難しい任務ではなかった。
呪霊も無事に浄化出来た。
ただ...最後にほんの少しだけ...

気が緩んでしまったのだと思う。

頭の上を両手で押さえて、硝子さんの元へと急いだ。



途中、誰かに出くわさないかととてもドキドキしたけれど、誰にも会うことなく、医務室へと辿り着くことが出来た。

『.....硝子さん.....。』

「あ、桃花.....それ...どうしたの?ハロウィン...はまだ先...だし...まさかまたあの変態の趣味じゃ...。」

“あの変態”って誰だろう...?

『ぁ、あの...っ...あの....。単独任務で...。最後に呪霊の攻撃をかすったら...その.....。うさぎさんのお耳と尻尾が...っ...生えてきちゃって...ぐすっ...。このままだったらどうしよう.....。』

「私はそのままでも可愛いから問題ないと思うけど。」

『そ、そんな...。このままだったら困ります...っ。このままうさぎさんになってしまったらどうしましょう...。くすん...。』

頭から生えたふわふわしたうさぎさんの耳を両手で下に引っ張りながら、硝子さんを見上げる。

「冗談だよ。低級呪霊だったんだろ?きちんと浄化も出来たようだしすぐに元に戻るんじゃないか?戻らなかったらその時は...何か方法がないかまた一緒に考えよう。」

『.....はぅ.....。』

「気になるならこれ。部屋に戻るまで着て行ったら?」

凹む私を気遣って硝子さんが渡してくれたのは、大きめなフードが付いているパーカー。

『ぁりがとうございます...。』

フードを被ればうさぎさんのお耳を誰にも見られずにお部屋に戻れます!

パーカーを羽織ったところで、医務室の扉が開く音。

「失礼します。」

聞き慣れた声に振り返ればそこには。


「お久しぶりですね。桃花さ...ん.....?」


『はぅ...っ!な、七海さん...っ!お、お久しぶりです...っ。ぁ、あの...あの...これは...その...ぁの...ですね...!』


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