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呪術廻戦 -桜色の瞳-

第9章 チューベローズ *



side 吉野順平



嫌いな人間が死ぬボタンがあっても多分押せない。
でも“僕のことを”嫌いな人間が死ぬボタンなら迷わず押す。



(最悪だ....)

趣味の映画を観に来れば、ガラガラの館内。
本来ならば人気の無い方が自分的には喜ばしいところだが、今回ばかりは訳が違う。

大分前の方へ腰掛けている3人組の男子高校生。

(高校生が学校サボって映画館来るなよ。...僕もだけど...。)

それもよりによってその制服は見慣れたもので。
見知った顔ぶれ。
忘れるわけがない。
見間違えるわけがない。
僕を理不尽な理由で痛め付ける奴等。
奴等のせいで全然内容が入ってこない...。

(そこそこの偏差値でもああいう人種はいるんだな。)

止まらない会話。
当たり前のようにスマホの使用。

その行動全てに苛立ちを覚える。



「君達。マナーは守ろうね。」



突然3人の背後に現れた人影。
全然気配を感じなかった。
このシアターに居るのは僕達だけだと思っていたけれど...
他にも観客が居たのだろうか?



映画が終わり席を立つ。
先程まで騒がしかった彼等が今度は妙に静かだ。
何か...様子がおかしい。

「なっ...なんだコレ.....」

そろりと側に寄ればそこには人とは思えないほどに頭部が変形し、動かなくなっている彼等の姿があった。

さっきの人...?
いや、こんなことが人にできるのか?

できたとして
それは本当に“人”なのか?

まだ近くに居るかもしれない。
急いで外へと駆け出した。


「やったのが俺ならどうする?責める?彼らは君にとって特別だった?」

何の詫びれもない様子のその人。
そもそも人なのだろうか。
独特な雰囲気を纏い、優しい声色で話す。

アイツ等は僕にとって特別なんかじゃない。
アイツ等は.......








「僕にも同じことができますか?」








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