第7章 千日紅 *
「......あのねぇ.....」
大きな溜息を吐きながら釘崎が口を開く。
「アンタが桃花のことがだーい好きなことも、桃花がお天然過ぎてまっっっったく伝わっていないこともよ〜〜〜く分かるわ。だからって昼間っからこれはないでしょ。少し冷静になんなさいよ。」
釘崎の言う通りだ。
俺は桃花のこととなるとすぐに周りが見えなくなってしまう...。
「....だけど....五条先生が....」
柄にもなくぽろりと口から零れてしまう、心配の種の人物の名前。
「はぁ?アイツがどうしたっていうのよ。ただの変態 過保護 保護者じゃない。」
釘崎には分からない。
きっと俺にしか分からない。
「私から見れば桃花だってアンタのことだーい好きじゃない。あんなお天然が相手だってずっと前から分かってるんだから、もう少し冷静に、気長に構えなさいよ。男でしょ。」
「.....そうだな。悪い....。」
そんなことは分かっている。
だけど気長になんて構えてたら五条先生に取られてしまわないかと不安なんだよ。
「後でちゃんと桃花に謝りなさいよー?」
釘崎と並び、先輩達の元へと歩き出す。
どうすれば俺だけの桃花になってくれる?
最近空回りばかりしているようで...気持ちが落ち着かない。
最近考えるのはいつもこのことばかり。
早く交流会が終わればいいのに、と。