第25章 藤の華に揺れる〜❷ 〜
あの日から数日後、
グレンは普通の可愛い猫に戻った。
『ぎゆー父様!鍛錬しましょう!」
『ぎゆー父様は杏と先にお料理の約束してるの!』
小さな手に右から引かれ
左から抱きつかれて板挟みされているこの状況になったのは
やっとの思いで憂と結ばれたつい先日の事だった。
煉獄家の色に挟まれて洗濯を干している憂が此方を楽しそうに見ていた。
やっと見れたその笑顔につられてしまう。
『ぎゆー父様って笑うのね!やっぱり母様は魔性の女なんだわ!この間なんて不死川様も笑っていたもの!』
『‼︎いつの間に…』
『天元様も母様の所良く来るよな!色んな物持って!』
『⁉︎なにっ!知らなかった……俺の憂なのに、』
『みんなー!!ご飯の支度手伝ってくれないー?今日はみんなの好きな物作るわよ!』
遠くで呼ばれて、我先にと走り出す3人に幸せそうに笑う
頬を風が優し撫でていった。
end