第15章 無限列車の後
月日は流れた。
愛はついぞ、元いた世界へ帰ることはできなかった。
心の中に、母への温かい思いを抱きつつ
自らも母になっていた。
「母様ー!」
「ねぇねぇ、母様!」
とたとたと男女の双子の幼子が愛のそばへ駆け寄ってきた。
『…ふふ、なぁに?』
「…あのねー!」
「あ!父様だ!父様ー!!」
父の姿を見つけた二人の子は、駆け出した。
三人ともそっくりな顔つき、髪色で、ここまで揃うと圧巻であった。
「愛!ただいま」
『…おかえりなさい。杏寿郎様』
運命は変わった。
良いのか悪いのかはわからない。
でも、こうして、幸せにただ幸せに笑って過ごせるならば
それでもういいのだろう。
ただ、笑い合って
それだけの日々を過ごす
その幸せを噛み締めて、そう生きていこう
わたしはこの日のために
生きてきた
この日は、まだまだ続く
この日のために、生きてて良かった
『杏寿郎様!わたし、幸せです』
「…あぁ、俺も幸せだ」
二人で、この日を生きて行きましょう
end