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わたしは、この日のために【鬼滅の刃】

第14章 無限列車


物語は加速する。
そして、もう誰にも止められない。


「どうした?愛、顔色が悪いぞ」

杏寿郎は具合の悪そうな愛の顔を覗き込む。

『…い、いえ。列車が初めてで緊張しちゃって』

杏寿郎の問いかけにビクッとしながら、眉を下げ、えへへと笑う。

愛の知っている電車とは違い、少し暗いし、音はすごいし、時折黒っぽい煙も入ってくる。
それがまた、今後来るであろう未来を想像して、愛の中を支配していた。

ううん、大丈夫
まだ、ここは大丈夫

『杏寿郎様!…気分転換がてら、この列車を見回ってきます。炭治郎が合流すると思うので、その迎えも兼ねて行ってきます』

「愛!」
立ち上がろうとした愛の羽織を掴んでくんっと自分の元へ引き寄せる。
突然のことにびっくりして固まる愛。

「この任務が終わったら伝えたいことがある。時間をくれないか?」
額がくっつくような距離で真顔でそう言われれば、愛は顔を赤くするしかなかった。

『ええ、あ…はい』

「うむ!ありがとう」
杏寿郎は返事を聞くと、手を離し腕を組んだ。
行っておいで、という仕草であった。


任務が終わったら…か
…死亡フラグへし折ってやる、絶対に
そう言えば、わたしも最終選別から帰ってきたら告白しようと思ってたよな〜
失敗したけど
え…いや、まさね


考え事をしていると、前から騒々しい声が聞こえてきた。


「すげぇすげぇ!ここが主の腹ん中かぁ!!」
「ちょっ!伊之助!静かにしろよ!」

「あ、愛だ」

「二人ともうるさいよ。久しぶり、炭治郎、善逸、伊之助」
おおはしゃぎの伊之助、それを止める善逸、やれやれという感じの炭治郎。

「初合同任務だね。よろしく」

「あれ?煉獄さんは?」
炭治郎がそう聞いた。

「あぁ、愛ちゃんの好きな人ね」

ゴッ
「だから、その話はなし」
おちょくった調子の善逸の肩を強く叩く愛。

「ごめんごめん〜」
この三人といるとあまり緊張感ない。

『前の車両。後ろからでもわかる髪の毛の色と大きさだから行けばわかる。わたしは後方車両まで一応見回ってから戻るから、先行ってて』
そう言ってまた、三人と別れた。

愛はこれからのことを一人で整理する必要があった。
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