第4章 継子として
「あ、いやでも、わたしのものを買うのにそこまでしていただくわけには…」
『ならぬ!』
杏寿郎は最後の方はかぶせ気味で大きな声で言葉を放つ。
『継子の面倒を見るのは当たり前だ!継子一人も満足に身なりを整えてやれぬのは柱の名折れ。柱として不甲斐なし!愛は俺をそんな男にしたいのか?』
早口でまくし立てる。
『い、いえ!』
「うむ!存分に頼れ。君は俺の継子だ。」
杏寿郎はにこりと微笑み、愛の肩をポンとする。
『は、はい!お言葉に甘えます。』
さっきの言葉はそう、わたしが遠慮しないため。
どこまでも優しい人。
そして、その笑顔はずるい。
かっこよすぎる。
愛は顔をかぁっと赤くして、目をキラキラさせながら杏寿郎を見上げる。
それに杏寿郎はドキリとする。
「で、では、家に帰るのは明け方になるだろう。父上と千寿郎によろしく言っておいてくれ。」
杏寿郎は少しどもりながら、愛と別れる。
『はい!お気をつけて。ご武運をお祈りしております。』
「あぁ、行ってくる。」