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花火 ー呪術廻戦ー

第2章 初授業


「さぁ着いたぞ」


バタンと音を立てて車のドアが閉まる。
担任の声につられて顔を上げれば、2年前に廃校になったらしい小学校の校舎があった。
本来ならば賑やかな声で溢れていただろうそこは、今は不気味なぐらいの静かさを保っている。
確認しなくても分かった。


「いるねー」


右横から聞こえた声に、なまえは一瞬視線だけを向ける。
やはりイケメンだ。
しかし残念ながら、彼は生まれ落ちる時に顔以外の取り柄を置いてきている。

先程学校でのやり取りが尾を引いて、なまえは悟った顔で目線を前へと戻した。
恋愛きゃははな高校生活など、ここには存在しないことを、彼女は登校初日にして理解したのだ。


「お前たちにはここで初授業を受けてもらう」

「いやーここの机はちょっと小さすぎんじゃない?」

「悟の精神年齢とは合ってそうだけどね」

「純粋無垢ってか。褒めんなよ、照れるだろ」

「悟っ、傑っ!話を聞けっ!」


この2人は1日に何度叱られる気なんだろうと、左横で校舎を見上げている硝子にすすっと近寄る。


「あの2人仲良すぎない?入学したの一週間前だよね?」

「惹かれ合うものがあるんじゃないかな。ほら、類は友を呼ぶって言うし」


なるほど、と頷き、まてよと口元に手をやる。
同じクラスの自分達も類友にならないかと思ったが、あの2人と比べて確実に常識人の自信があったため、それはないと首を振る。
もうあの2人は諦めて女子2人で仲良く生きていこうと硝子の隣をピタリと確保する。


「まぁ初授業というか、実地訓練だと思ってくれ。お前たちがどこまでやれるかみたい。この学校に巣食う呪いを祓ってくるんだ」


いきなりの実地訓練に、ごくりと唾を飲み込む。
だが、緊張を覚えたのはどうやらこの場でなまえのみだったらしい。
慣れた様子で、はーいと校舎へ進もうとする五条の首の襟を、夜蛾が掴んで止める。


「待て。一人で突っ込むな。二人1組で西と東に分かれて行動しろ」


そう言った夜蛾の視線が、なまえの視線と重なる。
嫌な予感が、した。


「悟はなまえと組め。傑は硝子と東からだ」
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