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花火 ー呪術廻戦ー

第13章 再会


五条悟。
それは最強の代名詞だ。
彼を最強にしたのは、その力ももちろんだが、併せ持つ非情な覚悟にもある。
多くの命を助けるために、多少の犠牲は仕方が無い。その割り切りに躊躇いがないからだ。
彼をそうしたのは、学生時代。

たった一人の親友と
たった一人の愛する人。

その両方を一度に失った時。奇しくも其れが、彼が名実共に最強へとなる最後の一押しになった。

彼の大切なものは何もかも崩れ去っていき、残ったのは、新しくできた、『夢』。それが五条悟の、たった一つの大切なものになった。


『強く聡い仲間を育てること』








「五条先生?」

名前を呼ばれて、彼は何事もなかったように、隣に座る人物に笑顔を向けた。

「なーに?恵」

「…今、完全に寝てましたよね?」

「そんな訳ないじゃん!可愛い教え子ががんばってる時に寝るわけないって!」

笑顔で答える五条とは対照的に、胡散臭げな視線を向ける伏黒。だが、自らが小さい時からの知り合いでもある五条という人間が、そういった性格であることもよく理解している。今更だなと前を見れば、実地訓練を終えた虎杖と釘崎が廃ビルから出てきたところだった。
虎杖の腕には、小さな男の子が抱っこされている。

「お疲れサマンサー!!」

立ち上がって出迎える五条は、釘崎が無事イカレた側の人間であることに安堵していた。
どれだけ素質があっても、イカレていなければ、呪術師という職を続けていくことは難しい。それによって、挫折した人、命を落とした人を、彼は誰よりもよく、知っていた。

「それで、二人はいつの間にこんな大きな子つくっちゃったわけ?」

「ちょっと!冗談でも、相手が虎杖とか月と太陽がサンバ踊ってもあり得ないから」

「そこまで拒否する!?先生、この子保護したんだよ。廃ビルで遊んでたみたいでさ」

「じゃあちょっと送り届けてくるよ」

虎杖に変わって、五条が男の子を抱き上げる。
幸いにも、廃ビルで遊んでいたとは思えないぐらいしっかりした子供で、自分の住所をすらすらと話すことができ。
瞬間移動を使用して、すぐに子供の家へと送り届けることができた。
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