第13章 再会
実地試験を終えた虎杖と釘崎は、廃ビルの外で待っていた同級生の伏黒、担任である五条と無事合流した。保護した子供も送り届け、その後、釘崎の希望であった、銀座にある寿司屋へと向かっていた。
ビフテキを希望していた虎杖は、自分の希望が通らなかったことに落ち込んだが、切り替えの早さは一番で。賑わう街並みと、すれ違うお洒落な人々に、目を輝かせながら歩いていた。
「ねぇ、虎杖」
そんな彼に、釘崎が声量を落として声をかける。何?と振り返る彼に、意味ありげな表情をする釘崎。
「さっきの、廃ビルにいた先輩。アンタどう思った?」
「どうって…」
何を求められているのか分からず、眉を寄せる。
廃ビルで偶然出会った、高専の三年生だという女の人。何かが光ったと思い、振り返った時に、そこに立っていた。優しい笑顔が印象的だった。
「私が思うに、あの先輩。怪しいと思うのよね」
「えぇ?何が?」
「よく思い出しなさいよ。あの部屋、最初見た時は絶対誰もいなかったじゃない」
「ああ、確かに」
「それが急にあの部屋に現れたのよ?加えて、青白い肌に、やつれた顔。あの呪霊もいなくなった廃ビルでやらなきゃいけないことなんてあると思う?」
「…てことは、まさか!」
釘崎が言いたいことに思い当たったのか、やりすぎな程に恐れ慄く表情をする虎杖。
それに気を良くした釘崎は、仰々しく頷いてみせた。
「間違いないわ。幽霊よ!」
「ナ、ナンダッテー!?」
「おいこら、呪術師が何言ってんだ」
盛り上がる二人に、いつから話を聞いていたのか、伏黒が呆れた声を出す。
「はー、アンタは見てないから分かんないのよ。あればぜーったい!普通の人間じゃないわね!」
「んー。まぁ、絶対かは分かんないけど、不思議な感じはしたかな。嫌な感じはしなかったし、優しそうな先輩だったけど」
「なになに?3人して、面白い話?」
盛り上がる3人に、担任である五条が当然のように割って入る。僕も仲間に入れて!なんて笑顔で話す五条に、相変わらず子供みたいな人だなと、伏黒は心の中で呟く。
五条の顔を見た虎杖は、あ!と閃いた。結局は、確認するのが一番早いのだ。
「先生、呪術高専の三年の先輩に、みょうじなまえって人、いる?」