第13章 再会
それは、呪いでありながら、一つの目的を持っていた。いつからなのか、なぜなのか。
呪いは自我すらも持たず、ただ、集めていた。
数多に散らばる、光の粒たちを。
呪いも知らない、過去。
それは、人だった。
持っている側の、人間だった。
だが、訪れた死。
失われるはずだった存在は、力ある術師の呪いによって、呪霊へと存在を変え。
自我も意識もなく、ただ集めるという目的だけのために。動き続けた。
どれだけの年月が流れただろうか。
数多に散らばる光の粒を集めることは、奇跡に近かった。だが、奇跡は起きた。
必要な量の光の粒を集めた時。
〝彼女〟は、自我を持ち、唐突に思い出した。
自分が人間だったことを。
人間だった頃の、体を集めていたことを。
持っている人間だった彼女の体には、人間だった頃の術式が刻まれていた。
『逢魔時 戻(れい)』
それは、彼女が人だった頃。
使うことをやめた、力の一つだった。
『逢魔時』には、二つの力がある。自分以外の時間に干渉する力と、〝自分の時間だけに干渉する力〟。
自分の時間だけに干渉する力は、自分以外の時間に干渉する力が、時間を止めることであるのに対して、自分の時間を戻すことができる力だった。
ただし、時間を止めるときに、対象を選べないことと同じに、『戻』もまた、戻る部分を選ぶことはできない。
自分の時間、全てが巻き戻る。成長も、記憶も。何もかもが、戻した時の分だけ。
そして、今また、その力が発動された。
戻っていく。彼女であった全てが。
長い年月の分だけ。
彼女が、人であった瞬間まで。