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花火 ー呪術廻戦ー

第11章 絶望


星漿体護衛の任務を経て、呪力の核心を掴んだ五条悟。彼は、それまで夏油と共に歩んでいた最強という道を、一人で走り出した。
まるで、干涸びた地面が水を吸収するように、その成長は目覚ましいものだった。

段々と任務を一人でこなすようになり、代わりに、なまえと夏油が一緒に任務に出ることが多くなった。

それでも、何も変わらないはずだった。

なまえと夏油が一緒に過ごすことが増えたことで、不機嫌になる五条も。京都校の交流会で圧勝した五条と夏油の活躍も。禁煙どころか酒にまで手を出し始めた硝子も。

変わらないと、心に言い聞かせ始めたのは、いつからだっただろうか。



「…夏油、大丈夫?」

覗き込んだ彼の顔は、どこかやつれたように見えた。

なまえ達は、三年生になっていた。
五条に負けまいと訓練を続けたなまえは、準一級へと成り、だが、その努力をすり抜けるように、五条と夏油は特級へと上り詰めた。


「病み上がりのなまえに心配されるなんて心外だな」

「もー、私は復活したって…」

任務から帰ってきたばかりの夏油を見つけて、駆け寄ったなまえ。本来ならば、この任務は二人で行く予定だったのだが、任務前日になまえが倒れたのだ。
毎年、夏の初め頃になると体調をくずすと、ここにきてなまえも分かってきていた。しかも年々酷くなっている気がする。

復活したとは言いながら、じっとりとした痛みがなまえの頭にこびりついていた。
だがそれよりも、彼女は夏油の様子が気になっていた。ここ暫く、夏油となまえは任務を共にし、他の同級生よりも一緒にいる時間が長くなった。だからこそ、時に心ここに在らずで、食欲の落ちた彼の変化に敏感だった。

「私はなまえの方が心配だよ。また痩せたんじゃないか?」

「えー、そうかな。私達、チーム病弱同盟でもつくる?」

「はは、いいね」

笑う夏油に何か飲もうかと、自販機を物色していれば、そこに黒い影が差した。

「お、いたいた。2人みーっけ」

「悟じゃん」
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