第12章 空蝉の頃$(不死川&煉獄裏)
「はい?」
「俺は君を貰い受ける件、諦めてはいないからな」
「ですが、私では子が…」
鬼が嫁いだとなれば、煉獄家の家名に泥を塗ることになるだろう。
「何、心配は無用だ。千寿郎もいるのだから、子孫云々は任せることも可能だ!」
「でも…」
「聞いてくれ、藤姫殿。女手が居なくて困っているんだ。母上が亡くなってから男衆だけが残された家では…」
「それは私でなくとも…」
「いいや、ダメだ!君ほど要領の良い女性はいないし…ああ、別に君をあてにしてるとかではなくて…その……」
「ふふ…」
黙って聞いていた那岐が小さく笑う。
「藤姫殿?」
「必死過ぎますよ、杏寿郎様」
クスクスと笑う那岐を見て、煉獄も笑う。
「ははは」
「……私を選んで後悔しませんか?」
「言っただろう?君を嫁に貰うと」
「……馬鹿ですね、杏寿郎様」