第9章 手に入らずとも (宇髄裏夢)
「なぁ、那岐…」
「宇髄様、何かご用ですか?」
「今日俺に付き合ってくれねぇか?」
「どこか具合が…?」
気遣わし気に見上げると宇髄が珍しく憔悴した様子で見つめてくる。
「いや、そうじゃねぇけど…ダメか?」
「構いませんが、一体どちらへ?」
遊郭の時のようにまた潜入ですか?
「いや、実は……」
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ことの経緯としては、要は忍頭である父親からの圧がかかったのである。
「要は跡継ぎですか?なら私では子を孕めませんので、お役に立てることはないかと…」
「親父が最近、孫孫うるせぇんだよ、お前の血鬼術で何とかならねぇ?」
「いくら私でも赤ん坊には変化できません」
「じゃあやっぱり最終手段だな」
はて?
最終手段……?