第5章 審神者と一緒にお勉強$
「うーん………」
「主?何をさっきから唸っているんだい?」
報告書を片手に現れた長義を見て、彩羽は広げていたノートを手渡す。
「長義ー、私計算嫌いー。簿記とか訳わかんないー」
「簿記?言葉は知らないけど、ここの計算が合っていないことは分かるよ」
「え?」
「支出計算は、こことここを足すんだ」
さらりと解説してくれた長義に彩羽は感動を通り越して感謝した。
「長義って勉強の神様なの!?」
「いや、神は神でも、刀の付喪神だよ」
彩羽にぐいぐい近寄られてだじろぐ長義。
普段であれば、彼の反応を見て楽しむ彼女だが、今日は余裕が無いらしい。
「あと一週間したら、検定受けなきゃだし……それに落ちたら単位貰えないのー!だから長義、勉強教えて!!」
「それを手伝って、僕に何か褒美はあるのかい?」
「褒美……何でもしてあげるから、お願い、長義様!!」
「へぇ、何でもね。良いよ、引き受ける。ただし、僕から教わる以上赤点を取ることは許さないよ……」
「…………はい」
有無を言わせない眼差しに恐怖を感じる彩羽でした。