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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第66章 I want to be scarlet ✳︎✳︎



「私も師範みたいになりたいです!」

これはまだ私が彼と思いが通じ合う前に言った言葉だ。
私の恋人……鬼殺隊で9人いる最高位の剣士の1人である炎柱・煉獄杏寿郎。

人柄、実力共に申し分のない人物で、老若男女から慕われる。
見た目は派手だけど、とても端正な顔立ちで第一印象だけで色んな人を惹きつける……そんな雰囲気の人だ。

はっきり言って自慢の恋人である。

けれど、時々こんな事を思う。
私の日輪刀は茜色だ。これは夕日を連想させる色なのに対し、杏寿郎さんの日輪刀は緋色で朝日を思わせる。

夕日は沈む物。朝日は昇る物。
この自然界の理(ことわり)がそのまま私と彼に当てはまる気がして何だかやるせなくなるからだ。

しょっちゅう落ち込み、何とか自分を奮い立たせ、次の朝にどうにか浮かび上がる自分。

夜が明けると必ず日が昇るように。
その強い精神力を携え、力強く眩い光を保ちながら、上昇する杏寿郎さん。


だからいつも思う事は1つ。
“夕日じゃなくて、私も朝日になりたい”
彼のように強く、眩く、そして優しく人を照らしてくれる陽光になりたいのだ。







ある日の事。
朝の稽古が終わって湯浴みをしていると突然扉が開いて彼が入って来た。普段おろしている長い髪は組紐でまとめ、高い位置で結んで居る。

「えっ?杏寿郎さん……?」
「いかにも!」

「私上がります……」
「待て待て」

慌てて髪に巻いていた手拭いで気持ち程度に体を隠し、浴室の扉に向かおうとすると、右手をパシッと掴まれた。


「共に入ってはくれないのか?」
「いや、だってまだ昼間だし恥ずかしいですよ……」
「何度も体を繋げているだろう。何を恥ずかしがる必要がある?」


この後、グイッと彼に引き寄せられてしまい、私は再度湯船に体を沈めた。




ちゃぽん、と湯船のお湯が跳ね、自分の背中には硬く逞しい胸板が密着している。腹部にはこれまた逞しい両腕が2つ、しっかりと回されて身動きが取れない。


「杏寿郎さん」
「どうした?」
私の左肩に彼の顎がちょこんとのり、耳に1つ口付けを落とされた。

「んっ……」
くすぐったさと同時に甘い震えが体に走った。今度はそこにふうと息を吹きかけられる。

「ゃっ……もう、ダメです」

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