第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎
乳房に優しく触れる。揉み込むと形が変わる。
そして先端の蕾。可愛らしいそこをきゅっ…と掴むと、七瀬の体が甘く震えた。
「杏寿…さ、好き…大す…き」
「七瀬……七瀬…愛してい…」
“……る”
右耳を少し食んだ後、吐息と混ざった囁きを届ける。
すると恋人の雫がとろ…とろ…と流れ出して、結合部の湿りが更に増した。
ズン、ズン、と突き上げる律動。
七瀬が飛び上がってしまいそうになるので、しっかりと体を支えてやる。
「はあっ、背中に…いい、か…」
絶頂が近い。絞り出すように声を発すると「は……い、」と頷き、慎重に動きだす彼女だ。
………七瀬、出来れば急いでくれ……
「これで……あっ、や、ちょっと待っ……」
「すまん……もう……耐える…のが…」
恋人が敷いていた布団に両手をついた瞬間、ずるっと勢いよく男根を抜き、目の前の愛しい背中に白い愛欲を3回連続で放った。
深く長く深呼吸をした後、七瀬は目を瞑ったまま、うつ伏せに横たわる。
綺麗にせねばな……
文机からちり紙を数枚取り、今しがた放った白濁を丁寧に拭き取った。
それを捨てた後、七瀬に視線をやると ———
……………!
汗で顔周りの髪がやや乱れ、ゆっくりゆっくりと息を整えている彼女がいた。
紅潮した頬、伏せられた瞼の下には長いまつ毛。
桃色でかわいらしい唇は血行がよくなったせいか、普段より赤く色づいている。
滑らかな白い肌に点在する細かな傷、浮かび上がる水滴。
そして背中の中心部を走る一際大きな傷の周りに、俺が愛おしい気持ちを何度も込めて咲かせた赤い花が数輪。
自分の息が止まるのではないか ————
思わずそう感じてしまう程に、七瀬がとても綺麗で眩かった。
5回程ゆっくり深呼吸を繰り返した所で、彼女の目が開かれる。
恋人は唇に弧を形よく描いてこちらを愛おしげに見てくれている。
その視線を心地よく感じ、俺は七瀬の背中を上から下に繰り返し撫でた。
「杏寿郎さん」
「どうした?」
彼女から声がかかる。