第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎

「やはりここに触れると、君は特に愛らしくなる」
「やっ……あっ…」

ぐっぐっと両の膨らみを柔らかく揉まれ、２つの蕾の内１つは唇で。もう１つは親指と人差し指の先で甘く、とろけそうな刺激を与えられ、また結合部の彼をきゅう……と締め付けてしまう。

「んっ、あっ、おかしくなっ…はあっ…ん……」
「七瀬……俺しか…見て…ないから、はあっ…大丈夫だ」

「あ、んっ……だ……」
下から上に突かれる刺激が多くなると、いよいよ目の奥に火花が散る回数も増して来る。

「くっ……はあっ…、——— うっ……」

ずるり、と彼の昂りが抜けると、私の体がゆっくりと後ろに倒され、複数に分けた白濁が下腹部をじわっと温かくさせた。

杏寿郎さんはふうっと深い息を一度はくと、瞬く間に呼吸を整え、文机に置いてあるちり紙を使って白い欲を丁寧に拭き取ってくれる。



「はあ—— ………」

目をつぶって息をゆっくりとはいて胸を何回か上下させると、体も気持ちも落ち着いて来た。目を開けた先にはわずか数センチまで迫っていた彼の整った顔。


「とても可愛かった」
「んっ…」
左頬に温かい口付けが届くと、唇にも同じぬくもりが落ち、そのまま啄む音を響かせていく。


「……まだ大丈夫だろうか」
「…………は…………ぃ」

私の両頬を大きな手でゆっくり撫でながら、こちらを見てくれる彼が愛おしくてたまらない。

「杏寿郎さん」
「何だ？」

「あなたと恋仲になれて、いつも大事にしてもらって…私本当に幸せです。ありがとうございます」
「それはこちらも同じだ」

また１つ私の唇に落ちる優しい口付け。

「大好きです、杏寿郎さん……」

その後は再び口付けで思いを伝え合う私達。ゆっくりと背中を起こされると、座らされたのは彼の膝の上だ。
いつも見上げる位置にある杏寿郎さんの顔が自分と同じ高さで見れる。

この体勢が私は気に入っている。

「あの、どうするんですか？」
「うむ……」
すると自分の体はくるっと後ろに向かされてしまった。

「んっ……」
そして背中の傷跡の中心部にちぅ、ちぅ、と落とされる温もりに体が震える。

「あっ……んんっ……」