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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第59章 2人の炎をあたためて ✳︎✳︎


再度位置を変え、杏寿郎さんの上に跨る。彼の左頬を自分の右掌でそっと撫でると、とても優しい目をして笑ってくれた。
好きだなあ、この顔。

「杏寿郎さんの肌はすべすべですね、ずっと触れていたくなります」

「それは君もだろう?ここや…」
「や…ん」

私の左腰を下から上に撫で上げる右手。


「ここは特に触り心地がいい」
そして左手は背中の傷を労うようにゆっくりと優しく触れられた。

「そう…ですか?」
「ああ」

この傷が出来てしまって……即ち巧が亡くなって1年半になるだろうか。普段はもう痛まないが、気圧が変わる雨の日や台風の日は少なからず痛んだり、皮膚がひきつるような感覚もある。

そして何より見た目があまりよろしくない。衣服で隠れる場所なのが本当に救いだ。

自分でも背中に触れてみるとでこぼことした皮膚面がそこにある。右上から左斜め下に向かってそのまま右手で辿ってみるけれど、とても触り心地が良いとは言えない。

「私はあまり……良いとは思えないんですけど」
少し苦笑いを浮かべながら、目の前の恋人を見つめる。

「俺は好きだ!君が必死で任務に当たった証だからな」
にっこりと笑顔を見せてくれた杏寿郎さんは、再び背中をゆっくりと優しく撫でた後にぽんぽん、と柔らかく右掌を当ててくれた。



「そして、とても愛おしい場所だ。君がここを見せてくれる異性は俺だけだろう?」

「はい……」

「七瀬の心も体も……君を形取る全てを愛している」

「杏寿郎さん………」

どうしよう、嬉しすぎて胸がいっぱいだ。



「大好きです……ずっとずっとそばにいさせて下さい」

先程彼が私に降らせてくれたように、おでこ・両瞼・鼻と続いて、唇にも口付けを届ける。
彼の唇を食むように味わった後はスルッと自分の舌を侵入させ、温かい杏寿郎さんの舌と絡ませ合う。

「んっ……七瀬……もう少し、口を開けて……くれ…」
「はっ……い、ん…」

気持ち程度だが、隙間をほんの少し開けると今度は彼の舌がスルッと滑らかに入って来た。

ち…う…と啄み合うこの行為も本当に気持ち良いし、心地良い。

彼の腕が私の首に回ると、グッと体が密着する。そのまま口付けを味わっていると、トン……と太ももに当たる彼の昂りは先程よりも湿りと硬さが増していた。

『あ……触れてあげなきゃな』


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