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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第57章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎


「ありがとう……ございます………嬉し……」

そこから先は両目から滴り落ちる涙で上手く話せなかった。

「すまん、泣かせるわけでは……」
「わかって…ます…ヒック……これは…ヒック……嬉し…涙……ヒック……グスッ……すみません…一度鼻を……噛みますね」


私は居間に置いてあるちり紙で数回鼻を噛んだ。







「申し訳ありません。落ち着きました……」
「本当にすまない…」
お互いに残っていた麦茶を飲み干して、ふう……とひと息つく。


「俺は君を泣かせてしまう事がどうも多い気がするのだが」
「ふふ、大丈夫ですよ。嬉しい涙は何回だって流して良い物ですからね」

「ありがとう。そう言って貰えると助かる」
槇寿郎さんはようやく笑顔を見せてくれた。


「七瀬さん、将門塚の再建についても君に伝える事がある」
「えっ……どんな事なのでしょうか?」

「前回…100年前は俺の祖父が役目を請け負ったんだ。君と同じように左手の甲に蠍の焼き印を最初につけられてしまってな」

「槇寿郎さんのおじいさまですか……もしかして、おじいさまも炎柱を?」


そうだ……と1つ頷くと、槇寿郎さんはこんな言葉を教えてくれた。


「始まりは12の炎で、終わりは12の水…ですか?」
思わず顎に手を当てて、天井に目線を向けてしまう。

「ああ、当日は石室の周りに松明が円形状に12個程置かれるそうだが、その松明を使用する際に必要な事らしい。俺の子供が次の代になるかもしれないと言う事で、幼い頃からよく聞かされていたんだ」

「何でしょう…炎と水?……この場合考えられる事として真っ先に思い浮かぶのは呼吸ですけど。炎の呼吸は全部で9個ですし、水の呼吸は全部で10個。どちらも足りませんよね……」

うーん、と唸りながら槇寿郎さんは腕を組んで目を瞑った。



12個、12個……脳内で数回繰り返した後、私はあっ……と思い付いた事があったので、槇寿郎さんにこう伝える。


「すみません、槇寿郎さん。少し見て頂きたい物があるのでお庭に来て頂けますか?」



さて、私が閃いた事とは——


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