第51章 甘えさせ上手と言われたい ✳︎✳︎ +
「きょ、じゅ…さん。だ、め…あっ…!」
「そんなに締めつけるな。出てしまう」
「えっ、あ…それ…は」
「待て、抜こうとするな」
二度、三度腰を横に振る七瀬の下腹部にゆっくりと右手を当てた。それからへそ部分を柔らかく撫でると、再び彼女の体は俺にピタリと密着した。
「七瀬、離れないでくれ」
「…はい」
ふっと彼女の体の力が抜けると、長い息が七瀬の口からこぼれ出る。これは安心していると捉えても大事ないだろうか。
腹部を充分に撫でた事により、少し落ち着いたのであろう。七瀬は俺の手の上からそっと自分の掌を重ね、大丈夫だと言葉を発した。
「あの、出るって言われた…から、その…」
「ああ、だが我慢した!」
君の中で達するのは、これ以上ない程の心地よさだろうがな。
俺は恋人を更に後ろから抱きしめる。互いの背中と胸に付着した汗がじわりと絡んだ。
七瀬と会話する事も鍛錬をする事も自分の気持ちを軽やかに上昇するのだが、やはりこうして何も身にまとっていないむき出しの姿で触れ合うのは…
「杏寿郎さんと…話す事も、もちろん鍛錬する事も…凄く好きなんです、けど…こうして抱きしめたり、抱きしめてくれる事も…私は…す…き…です」
またか!
自分が言おうとした事を今回も七瀬に言われてしまった!
「七瀬、こちらを向いてくれないか」
「わかり、ました」
首が振り向き、彼女の表情が見える。頬はほんのりと紅潮しており、微かに笑っていた七瀬に一つの口付けを贈る。
顔を離すと見えるのは、穏やかに俺を見てくれる恋人の笑顔だ。
「体もこちらに向けてくれ」
「…」
ゆっくりと七瀬の体が動く度に結合部が刺激され、高揚感が増していく。淫らな水音が耳に聞こえると尚更だ。