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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第33章 風柱・不死川実弥 +




「おい、煉獄。お前もかァ」

「む? 何の事だ!」


風柱・不死川実弥は満面の笑みを浮かべて左横に座っている杏寿郎に、呆れた目線を向けた。
彼と炎柱の間に置かれているのは、おはぎだ。これは実弥の大好物である。


『あの継子にしてこの師範ありかよ』


風柱は一ヶ月前、自身の非番の日に訪れた七瀬の顔を思い出していた。彼女もまた実弥の好物のおはぎ ——— それも特に気に入っている店の商品を持参し、屋敷を訪ねて来た為だ。


「どうした、不死川! 食べないのか? 長友くんが淹れてくれた茶が冷めてしまうぞ」

「あァ、そうだなァ」

二人は置かれている甘味をパクリと口の中に入れていく。


「うまいっ! おはぎにほうじ茶はやはり間違いがない!!」

「へえ、お前よくわかってんじゃねェか」

「そうか?? いや、これはだな……」


この後、数分間ほど”七瀬がおはぎとほうじ茶の絶妙な頃合い”について語ってくれ、すっかり自分も好きになった” —— それを杏寿郎は実弥に伝えていくのである。










「風柱様、炎柱様、失礼します、お茶のおかわりお持ち致しました。お二人よろしければどうぞ」


五分後、廊下の奥からやかんを持参して現れたのは、ここ風柱邸の専属隠であり、名を長友穂希と言う。


「お前、ほんと絶妙な頃合いで来るよなァ」

「特に意識はしていないのですが、大体このぐらいかなと。ありがとうございます、勿体無いお言葉です」


実弥の目尻が柔らかく緩む瞬間を、杏寿郎は感心しながら見ていた。この長友は煉獄家の専属隠・内田と同僚であり、仲も良い。それ故に杏寿郎も内田からよく話を聞いている。


「長友くんは不死川が好きなのだな!! 」

「ええっ、それはもう! 炎柱様の仰る通りです…!」

「てめェら! その言い方だと誤解を招くんだよォ……!」


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