第30章 可愛いとかわいい ✳︎✳︎ +
そんな私の思いが伝わったのだろうか。彼の口元に笑みが宿っている。
嬉しいけど少し恥ずかしいかも。
私は照れをごまかすように杏寿郎さんへ柔らかな口付けを一度贈り、両腕を彼の首へ回す。
“この先に進んでも大丈夫です “
これは彼への合図だ。
「杏寿郎さん、大好きです」
「ああ、俺も七瀬が大好きだ。君が好きだと言ってくれる度に…俺は君の事が好きになる」
「ふふ、嬉しいで……あっ、やん」
また二つの膨らみが大きな掌で包まれ、形がゆっくりと変化していく。どうしてこんなに心地よいのかな。
彼が触れてくれる度に、鼻から抜ける砂糖のように甘い声が出る。
少し恥ずかしいけど「可愛いな」と口付けをしてくれる事に高揚して、段々と気にならなくなっていく。やっぱりかわいいって言って貰うの幸せ。
しっかりと余す所なく乳房を揉み込んだ後は、先端部分の愛撫もたくさんしてくれる。
男の人だから胸が好きなのは仕方ないと思うけど、杏寿郎さんは特に好きな性質なのかな。
掌で回したり、親指の腹で擦ったり、口に含んだり、と色々な用途で優しく触れてくれるから。
「あっ、あっ、んんっ…きもち、い…」
「たくさん触れるから、君のかわいい声を聞かせてくれ」
「はいっ、あ……んんっ! そこ、すき……」
段々頭がぼうっと、何も考えられなくなって来た所で私は気をやった ——
その後も胸への愛撫をたっぷりと受けて、二回気をやってしまった。
「七瀬、すまないが今すぐ君の中にはいりたくて堪らない。良いか?」
「あ、は……い」
どこか焦点が定まらない。そんなぼんやりした視界で彼を捉え、私はゆっくりと体を起こした。
「私ばかり気持ちよくして貰いましたもんね。ごめんなさい」
「何、謝る事はない。俺がそうしたかったのだからな! 」
にっこりと快活に笑う杏寿郎さんだ。