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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第17章 恋柱、甘露寺蜜璃 +





七瀬が視線を送っている場所を追うように確認した天元。
店名とのぼり、それから同僚二人を見る彼女の表情を見た彼。これだけで聡い天元は合点がいったようだ。

「ふーん……なるほどな」

意味ありげにニヤリと笑う音柱である。


「おい、お前ちょっと付き合え。話聞いてやる」

「はっ?いや、私は話す事は何も…それにお嫁さん達は?一緒じゃないんですか??」

「先に店の中に入って待ってんだよ。祝ってくれるらしいぜ」

「祝う?何をですか?」

「俺のたんじょーび」

「へえ!おめでとうございます!いつなんですか?」

「今月の末……って事で付き合え!」

「いや、ご夫婦水いらずで……ちょっと、宇髄さん〜あ、髪ぐしゃぐしゃにしないで……」

七瀬はこうして、店内に連れ込まれてしまった。










「煉獄さん!あれ七瀬ちゃんじゃないですか?」
「……そのようだな。宇髄と一緒だ」

「宇髄さん、ですか?全然雰囲気が違いますけど」
「いや、彼だ。間違いない」

見慣れない天元の様相に理解が追いつかない蜜璃。
対し、杏寿郎は親しげに話す二人を見ながら、もやもやと渦のように巡る疑問に囚われていた。

七瀬は天元の嫁三人と親しい。特に一番年下である須磨とは時々甘味処に行っていると言う報告も受けている。

『………!何のつもりだ?』

その時 —— 天元は彼と視線を合わすと、ニヤリと笑い、継子の頭をガシガシとなでながら店内に入る。


「煉獄さん、大丈夫ですか?ここ、皺が寄ってますよ?」
「ああ、すまない。何でもないんだ」

「でしたら良いんですけど……」

自分の眉間をちょんちょんと差し示している蜜璃は、元師範の様子がややおかしい事に疑問を持ったが、あまり深くは追求しない事にした。



次の日、杏寿郎は天元に文を出した。
以前より享受を頼んでいた件についてだ。そしてこの日の事を彼は天元に問うのか?それは次章を確認して頂ければ幸いである。


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