第5章 お館様
「あ…!」
煉「…どうした?」
自分の行動に項垂れていた煉獄はゆるゆると顔を上げる。
月奈は、鬼がいた場所に近づき、地面を見回している。
その行動で、煉獄は「あぁ」と気付いて、月奈にある物を差し出した。
煉「よもや、簪を使うとは思わなかった。君の行動はまったく予測がつかん」
ありがとうございます!と受け取ると、簪を大切そうに胸に抱く月奈の姿に煉獄は微笑んだ。
煉「さぁ、早く帰って手当てをしよう。…その前に湯浴みか、大分汚れてしまったな」
月奈の肩を羽織越しに抱き、家に向かうべく歩き始めた。