第5章 お館様
「ん~!いい天気だなぁ」
月奈はベッドの上で伸びをすると、窓から射している陽光に目を細める。
(今日はお館様にお会いする日…失礼のないように気を付けないと)
蝶屋敷でお世話になっている間、自分の進むべき道をずっと模索していた。
鬼殺隊の隊士達に会って、皆が皆ではなくとも自分と同じように鬼によって家族を亡くした境遇の人間が沢山いることを知った。
敵討ち、恩人への恩返し、世のため人のため、入隊する人間の理由は様々であることも知った。
(もし、私の望みをお館様に聞いて頂けるなら…)
望みは1つ。ずっと思っていた。
しかし、自分の考えを無理に押し通すことは出来ない、それは重々承知しているため、最終的にはお館様の提案を受け入れるしかない。
話を聞いて頂くだけでも、諦めはつく。と思う。
パンッ!と両手で頬を叩き、気合を入れる。
お館様がどのような方か詳しくは知らない。だから不安はあるが、なるようになる。と叱咤して月奈は着替え始めた。
ア「月奈?起きてる?」
扉の向こうから聞こえてきた声は、ずっと世話をしてくれていたアオイだ。
月奈は扉を開き、おはようございます、と挨拶をする。
ア「今日の朝は、皆で朝食にしようと思って呼びに来たの。着替えは終わった?」
「終わりました!皆で食べるのは久しぶりですね!」
アオイと並んで座敷に向かう。
皆、私が今日お館様と会うことを知っている。きっと心配して揃ってくれたのだろう、それが嬉しい。