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【鬼滅の刃】闇を照らして【煉獄杏寿郎】

第19章 前進と後退



清「旦那様お久しぶりです」

ときと屋の暖簾をくぐると、二人の女性が杏寿郎を出迎えた。
一人は内儀、もう一人は月奈が潜入していた時に仲良くしていた遊女の清花だ。

煉「久しいな清花!御内儀も無理を言ってすまない」

内「旦那様、ご要望通りに部屋をご用意しております。藤葉は元気にしておりますでしょうか?」

藤葉、月奈がここに潜入中に名乗っていた源氏名だ。鬼殺隊の任務であったことは清花以外は知らない、任務離脱の際も藤葉を身請けする形でここを離れた。

ー任務離脱が早まった原因の植木屋も既にこの世には居ない。身請けされてここを出た藤葉を心配するのも、植木屋の一件があったからだろうな。

部屋に向かう廊下を歩きながら、小声で藤葉を案じた内儀に杏寿郎は「勿論元気にしている」と頷くと内儀の表情が少し和らいだ。数日しか居なかった遊女の事を我が子のように気に掛けることに、杏寿郎は素直に感心した。
部屋に着くと、ごゆっくりどうぞと内儀が挨拶をして下がっていった。

清「内儀さんも随分心配されていたのですが、藤葉ちゃんと文をやり取りしていることを話していいものか分からなかったので元気であることも伝えられていませんでした。内儀さんもこれで少し安心したようです、ありがとうございます旦那様」

微笑んだ清花は温かいお茶を湯呑みに注いでいく。その流れるような所作に杏寿郎はなるほどと思った。こういった細やかな配慮が男を魅了するのだろう、さすが花魁候補といったところだろうか。

煉「本当は御内儀にも会わせてやりたいところだが、中々簡単には行かんからな。清花にはまだ口を噤んでもらうこともあるだろうが、情報を漏らすことは無いように頼むぞ」

そう言った杏寿郎は窓を開けて屋根に上っていき、数秒すると何かを抱えて部屋へと戻ってきた。屋根から出入りする姿を以前から見ていた清花は特に驚く様子もない。
抱えられていた物はすっぽりと布に包まっているが、子供程の大きさだと分かる。何だろう?と清花が首を傾げた瞬間、その〔何か〕がモゾモゾと動いて布を脱いだので清花は少し身構えた。

「清花さん、お久しぶりです。文で誘われて遊びに来ちゃいました」

清「え?…その声は藤葉ちゃん!?どうして小さいの?」

「あはは、やはりそこは気になりますよね…話せば長いのですが…」
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