第15章 覚悟の始末方
遠ざかっていく千寿郎の足音を聞きながら、槇寿郎がふと口を開く。
槇「で、どうして隠の月奈が鬼の首を切る状況になったんだ?ましてや日輪刀を使ったと…」
煉「日輪刀は、その場に居た竈門少年の物を使用したと本人から聞いています。鬼については、月奈の見知った鬼だった。としか俺の口からは言えません」
ピクリと槇寿郎が眉を上げる。先を促すように杏寿郎を見るが、杏寿郎自身の口から話すつもりはないと表情から見て取れたのだろう、視線を外し溜息を吐いた槇寿郎は冷めてしまったお茶を啜る。
槇「見知った鬼、か。何か事情がありそうだがお前から話す気はないようだな」
煉「申し訳ありませんが、こればかりは俺の口から話すことではないと判断しました。一つ言えるのは、見知った鬼だったということだけです」
槇「鬼になった以上、首を切らねばならん。月奈が己の手で首を切ることで後悔が残ったのか、はたまた気持ちの整理がついたのか。そこだけが気にかかるだけだ、話している感じでは後者か?」
聞かれた杏寿郎は、蒼樹のことを話す月奈を思い出す。随分と落ち着いていた、もちろん過去に対しての後悔はあるようだったが他人の刀を借りてまで首を切ったことについては覚悟を決めていたようだった。
煉「はい!後者かと思います。随分本人も落ち着いていました」
それならいい。と槇寿郎は立ち上がり部屋へと戻っていく。その後ろ姿は安堵の空気を纏っていた。