第11章 再会
鬼が構えの姿勢を取った所で月奈は思いきり自分の腕を裂いた。
煉「炎の呼吸 奥義 玖ノ型・煉獄!!」
猗「術式展開 破壊殺・滅式!!」
瞬間、二人の技がぶつかり合い激しい土煙が轟音とともに空に昇っていく。凄まじい風と土煙が周囲に走り、誰も状況を確認できずにただ、煙が晴れるのをじっと待つ。少しずつ晴れてきた土煙に目を凝らすと杏寿郎と鬼の姿が見える、杏寿郎の目は驚きに見開かれており、口からは血を吐き出していた。
「そ、そんな…」
鬼の首は繋がったまま、体に亀裂が入っているのみ。鬼の右腕は杏寿郎の体にむかって伸びているように見える。
綺麗に土煙が取り払われると、杏寿郎と鬼の間に何かがあることが分かってきた。
「ま、雅雄様!!?」
雅雄の刀は鬼の右腕を切り落としていた。どうやら杏寿郎は一瞬の攻撃を喰らったようで、隊服のみぞおち部分が裂けている。
猗「この…!邪魔をするな!」
割って入った形の雅雄に左の拳を振り下ろそうと構えた鬼の腕を杏寿郎が掴んだうえ、首に差した日輪刀を首を切るべく力を込める。その姿を見て炭治郎と伊之助がトドメを刺そうと動き出した。
(早く!太陽が昇ってくれれば鬼は死ぬ。早く、お願い!)
ーまずい!ここには陽光が差す!逃げなければ!
昇り始めた太陽を見て明らかに狼狽えている鬼。しかし、逃げようにも右腕を再生すれば雅雄に切られ、左腕は杏寿郎に抑えられている。そして首には日輪刀が刺さっている。
猗「オオオオオオオオォオオオオ!」
煉「あぁあああああぁあああああ!」
逃げようとする鬼と、逃がすまいとする杏寿郎。二人の声が空気を震わす。
伊之助がトドメの一撃を繰り出そうとした瞬間、鬼は空中に飛んでいた。強い跳躍の風圧で杏寿郎はその場に崩れ落ち、伊之助は後ろに吹っ飛ばされた。
刀の刃が刺さったまま、鬼は森の中へと走り去っていった。月奈は慌てて杏寿郎と雅雄に駆け寄ると、ケガの状況を調べていく。
煉「月奈…あれほど戦うなと…」
「杏寿郎様!喋らないでください、肋骨を折っているなら内臓に影響します!元気になったらいくらでも怒って下さって結構ですから!」
雅「それ、俺も怒られますよね…お手柔らかにお願いします…」