第3章 崩壊
「あいたた…」
庭にある井戸で手を洗おうとした月奈は、尻餅をついていた。
足元にはタライがひっくり返っている。足を突っ込んでしまい滑ったのだと気付き、慌てて周囲を見回す。
どうやら誰も見ていなかったようだ。あぁ恥ずかしい…
「借りてる服も濡れちゃったな、しのぶさんとアオイさん怒るかな?」
ー運動神経はいいのに、変なトコでドジなんですよね姉上は…
立ち上がろうとした時、誰かの声が聞こえた。
そうだ、私はいつもそれを笑われていた。でも必ず助け起こしてくれていた男の子がいた…
「…うっ!」
また鈍い痛みが頭を襲う。
うずくまって痛みが引くのを待っていたが、それより先にふわりと持ち上げられた。
痛みでかすむ視界には、鮮やかな黄色に先は赤色の髪の毛が広がっていた。
「すみません…転んでしまって…」
横抱きの状態で頭が肩にもたれているので、顔が見えないが、しのぶやアオイではないと分かり、力なく謝る。
ふと、以前も同じように抱きかかえられたような気がした。
でも、どこだったんだろう…
し「月奈さん!!大丈夫ですか!?」
そっと縁側に下ろされた月奈に駆け寄ったしのぶは、頬に手を当て覗き込んだ。