第2章 忘却と願い
冨「…家族を殺されるというのは、俺達鬼殺隊の人間ならば気持ちの分かる奴はたくさんいるだろう。その悲しみや鬼に対する怒りが生きる原動力となって鬼に生身で向かっている。俺も同じ、だからこそ…俺は立ち直る機会を勝手に奪うのは賛成できん」
煉「俺も賛成しかねる!騙されるも同然、まやかしの幸せなど虚しいだけではないか」
二人が言うことは、当然しのぶもアオイも理解している。
蝶屋敷で引き取るならば、冨岡も煉獄も出会う可能性は大いに考えられる。結局のところ、面会を制限したとて、いつまでも月奈を病室に閉じ込めておけるはずはないのだ。
しん、と静まり返ってしまった部屋に突然大きな物音が聞こえた。
ーガシャンッ!!
次いで女性の声がした。庭の方からと分かるや否や、全員が立ち上がった。
しのぶとアオイは声の主が分かっていた、行かせまいと伸ばした手は空を切り、男二人が部屋を飛び出していった。
し「駄目です!冨岡さん!煉獄さん!」
ア「お待ちください…っ!!」
先の二人に、しのぶとアオイは叫んで走り出した。