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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第6章 日常





人通りの多い街中で

美玖はキョロキョロと周りを見回していた。


あの後、皆で街へ来たが、
思いの外すごい人出で、


街へ来て早々に迷子になってしまった。



…嘘。私って本当、ダメな奴…。


周りをもう一度確認するが、
あの目立つ頭の3人は全く見当たらない。


…近くに居れば、
一目で分かるくらいに目立つ。


もう、相撲場所へ向かったのかも…。

そう思い、歩き出そうとした時。


美玖!
こんな所に居たのか!


…師範!
良かったあ〜私、迷子になってしまって…。
すいませんでした…。


師範が私を見つけてくれた。

危ない、本当、
あやうく折角のお出掛けを台無しにする所だ。



うむ!見つかって良かった!
しかし、すごい人だな。
はぐれても無理からんこと…気にするな!


うぅ…はい…。
ありがとうございます。


はっはっはっ!
そうしょげるな!

そうだ、父上と千寿郎は
先に向かっているぞ!
俺たちも急ぐとしよう。



師範はそう言うと、
私の手を取って歩き出した。



…!えっ?師範…手…


 
むっ?…ああ。
また迷子になったら大変だからな!
こうしていれば、迷うこともあるまい!


…はいっ!


少し照れるけど…嬉しい。

はにかみながら、
美玖は杏寿郎の手をしっかりと握った。


そのまま進んで行くと、
一際、賑わっている店の前に、
槇寿郎と千寿郎の姿があった。


槇寿郎と千寿郎が
美玖と杏寿郎に気付き手を振る。


すいません。
ちょっと、迷子になってしまって…。


美玖は
申し訳なさそうに口を開く。



いや、この人混みでは仕方のない事だ!
そうだな…杏寿郎、
そのまま手を離すなよ!
中ではぐれてはかなわんからな!


槇寿郎の言葉に、
師範と手を繋いだままという事を思い出した。


……!

慌てて手を離そうとするが、
杏寿郎はしっかりと握ったままだ。


師範?あの、もう大丈夫ですよ!


父上もああ言っているし、
美玖は少し危なっかしいからな!

しっかり掴んでいるといい!


二人きりならまだいいけど、
槇寿郎と千寿郎の前で手繋ぎしているのは

なんだかそわそわとしてしまう。


千寿郎!
お前は私から離れぬようにな!


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