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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第6章 日常





あの後、
よそ行きの綺麗な着物を
槇寿郎さんから貸してもらい着替えた。


瑠火さんの形見だそうだ。

大きな花柄が入っている着物だ。

とても華やかな柄だが、
色が抑えられているからか上品な印象を受ける。


髪も、普段は上の方で括っているけど、
瑠火さんの真似をして、
下の方でゆったりとまとめて片側に流す。


ほんの少し、大人っぽく見えるような…

ふふっお洒落して街へお出掛けなんて、
しかも家族揃って…!


楽しみで楽しみで、
駆け出してしまいそうなくらいだけど、

今日は着物だから、
お上品に振る舞わないと、ね!


支度を終えて、
居間へ戻ると、
槇寿郎さんが座っていた。



お待たせしました。
師範と千寿郎くんは…?


ああ、二人には、
戸締まりをするよう伝えた。
すぐに戻るだろう。


そうでしたか…

そうだ!槇寿郎さん、
お着物を貸してくださって、
どうもありがとうございます!


どうですか?

と、言いながら、
その場でくるりとまわってみせる。


…ああ、とても良く似合っているぞ!
随分と大きくなったのだな!


槇寿郎ははしゃぐ美玖を
目を細めて見ていた。



そこへ、戸締まりを終えた
杏寿郎と千寿郎が戻ってきた。



父上!戸締まりを終えました!
そろそろ街へ向かいましょう!


心なしか、
楽しそうな様子の師範。


そういえば、
相撲観戦が好きだったような…。



…ふふっ

つい、笑い声が漏れてしまった。



美玖!
準備ができたのか!

その着物、とても似合っているぞ!


っ…!
あ、ありがとうございます!

師範も、その着物、
とても似合ってますよ!



杏寿郎は、薄灰色の着物を着て、
黒い羽織に身を包んで居た。

なんてことない、
普通の着物だが、


普段隊服姿しか見ていないので、
とても新鮮な感覚だった。


そしてそれは、
杏寿郎も同じ事だ。




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