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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第6章 日常





…師範。起きてますか?


杏寿郎の部屋の前で膝をつき、
襖の向こうへ声をかける。



………。


返事はないようだ。

昨夜も任務で遅かったから、
きっとお疲れなんだろう。


そう思うも、
起こさずに戻れば、
槇寿郎になんと言われるか…。



…師範?入りますね?


そう言って、部屋の襖を開けて、
杏寿郎の側へと寄る。


…!そうだ…!

何かを思いつき、
美玖は、布団を豪快に剥いだ。


先日の蝶屋敷での事を
密かに根に持っていた美玖は

お返しとばかりに布団を剥いだのだ。


そして、師範の胸元に手を添え、
起きてくださーい!っと
まるで子供が父を起こすかのように、
揺すりながら声をかけた。


珍しく眠りが深いようで、

杏寿郎は薄目を開けたものの、
また目を閉じてしまう。



…!師範!
今見ましたよ!
目、確かに開いてました!

起きて下さい〜!
朝餉の支度が整いました!



美玖は少し楽しくなってきて、
意気揚々と揺すり続けた。


その時、
杏寿郎の腕が美玖の手に添えられ、

そのままぐいっと、
自身の胸に引き寄せた。


杏寿郎の胸元に重心を傾けていたのもあり、
美玖はそのまま、
杏寿郎の胸の中に収まっていた。



…!師範!
は、離して…!
起きて下さい〜…!


しかし、杏寿郎は
美玖を抱いたまま、
心地良さそうに眠りにつこうとする。


美玖は堪らず、


なんとか抜き出した自身の手で

杏寿郎の頬を軽くひっぱった。



ー…



んっ?

何か、暖かいものを抱きながら、
自身の布団で目を覚ます。

まだ朝のようだ。


何か…いつもより心地がいい。

そう、何か、甘い香りと…

心地よい体温…?


視線を動かそうとすると、
ふいに、頬をひっぱられた。


…!!


自身の腕の中から、
美玖が手を伸ばし頬に触れている。


目が合うと、
恨めしげな目で見つめられるが、
その顔は耳まで真っ赤だった。


…ふっ!はっはっはっ!
何だ、その顔は!


〜!!


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