第1章 嚆矢濫觴
「小さい頃に植え付けられた
否定的な考えはなかなか払拭できません。
宇髄さんは
疎ましく思うこともあるかもしれないけど…。
でも、いつも
悪いように考えているわけではないんですよ」
どうして私はこの人には
こんなにも素直に、自分の事を話してしまえるのか。
それは、この人が自分の事を素直に
私にひけらかしてくれるからだと思う。
「俺は、
多分、睦が思ってるより
もっともっとお前の事が好きだ。
見えてる所だけじゃなく、お前が隠してぇ所も
思い出したくねぇ事もひっくるめて、
全部が好きなんだよ」
私の体を、きゅっとくっつけるように
抱きしめて、
「俺の想いをなめんなよ?」
ちょっとおどけたように、
でも熱を込めて伝えてくれた。
「…嬉しい」
私が思ったままに呟くと、
宇髄さんはまた、ギョッとして私を見る。
「お前さっきからよ…」
「?」
「可愛いぞ」
「え…」
宇髄さんはまた、
私のおでこに口づけた。