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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第52章 スルタンコラボ更に追加 〜睡蓮の願い〜




この涙は、恐怖から。
天元が居なくなったら
どうやって生きていこう…?

こんなになってしまうくせに
私はどこかで
天元なら大丈夫だって思っていた。
多少の我儘なら許してくれるって思っていたの。

天元の気も知らないで。

「願掛け、って?」

やっと声が聞けて、私は更に涙を零した。

話を聞く気になってくれた事実だけで
こんなにありがたい。

「…好きなもの断ち…
自分の、1番好きなものを我慢するの…」

「……」

あぁ…また、黙ってしまった

「ひっ…ごめん、なさ…うぅ…」

彼の腕を抱きしめて
ただ泣くしかできない私…
誰のためだろうと
1番大切な天元を蔑ろにしていたのでは
私はただの大バカ野郎だ。

「お前…」

少しだけ
天元がこちらを向いたような気がした。
それでも涙に濡れていた私は
そんな事を気にはしていられなかった…

ただ離さないように
その腕にしがみついていると

「1番、好きなものって?」

天元が私の頭のてっぺんに向かって囁く。

「……天元…」

「……あの日
俺に何もさせなかったのは…?」

「…好きなもの断ちしてたから…
天元とは、出来なかった、から…」

天元の片手が私の頬に掛かった。
反対側の頬には、彼の頬が充てられる。

「さっき、俺じゃなく
アーディルを連れて外に出たのは…?」

「天元には、会えない……あの時はまだ
アシルとジャナは、結ばれてなかったもん…」

「会うくらい会えたよな?」

頬が擦り付けられて
スッと離れたかと思うと
今度は鼻先が触れ合う距離で強く凝視められた。

「会ったら…欲しくなっちゃう…」

天元はチッと舌打ちをして
両手で私の頭を固定する。
眉間に深い皺を刻み、苛立ちを露わにした。

「アシルとジャナは
付き合う事になったのかよ」

「なった…さっき…それで嬉しくて…
アーディルさんに、」

抱きついちゃったんだよ。

でも天元はそれを聞いてはくれなかった。

「黙れ言うな!…くそ…っ」

心底悔しそうにして、

「ならもういいんだな。
お前の願掛けは、終わったんだな!」

やっぱり怒ったように言う。

「終わっ……そん、な怒らないでよ…!
私だって…淋しかっ、たのに…
そりゃ私のせ、だけど…っでも」

「泣くなって、」

「天元のこと、好きだもん…!」

「ばぁか。わかってんだよ」


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