第50章 .☆.。.:..初心:*・°☆.
「私がこのままでも大丈夫って事ですか」
そんな事を訊くのに
どれだけの勇気が要ったことか。
私の疑問を受けて
宇髄さんは大きく目を見開かせた。
「俺最初っからずーっとそう言ってたろ」
信じられない、って
その目が言っている。
「つまらない私も含まれますか…?」
「…困った事になぁ、
睦をつまらねぇなんて思った事
1回もねぇんだけど…」
あまりに率直に答えられてしまい
「あ…そ、ですか…えと、じゃあ…」
返す言葉もなくて言い淀んでいると
「睦のいいとこは割と知ってるつもりだ。
…俺の惚れた欲目だろうが
何してても可愛いと思うし
俺だってこうやって2人でいりゃ
舞い上がっちまうしなぁ…
まぁそれなりに
みっともねぇ姿を曝す事もあるワケで…」
宇髄さんがつらつらと
私について語り始めた。
まさかそこまで言ってもらえるととは思わずに
結構な勢いで慌てていたのだけれど…
宇髄さんのあるひと言を機に
ふと冷静になるのを感じる。
「宇髄さんのどこらへんが
みっともないんでしょうかね…?」
大いなる疑問だ。
1番縁遠い言葉ではないだろうか。
「ん?」
話を遮られた宇髄さんは
不思議そうに私を見下ろして
「どこらへんって言われてもなぁ…」
ぽりぽりと頭を掻いた。
そっかぁ
自分では気づかないものかのか
そう思った私は
本人にもちゃんとわかるように
説明してあげる事にした。
「いつも周りの事よく見てるし、私と違って気遣いも抜群。でも相手には気を遣わせないように、すんなりと嫌味なく物事をこなす所なんてすごく素敵です。ちょっと暴走しがちな時もありますけど、それは私を思っての事でしょうし、私としてはすごく嬉しいし…。しかも、舞い上ってるって…それいつですか?全然わからないのは、やっぱり私が鈍いからですか?いつも紳士的だし優しいしかっこいいし言う事ないんですけど」
「睦ー!わかった…わかったから!」