第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
——まだ。
まだだめよ。
だってまだそこにいるもの。
宇髄さんみたいに耳が良くなくても
まだ聞こえてしまう距離だから。
だけど、表通りで…
人々がどよめくような…
喚き声のようなものが聞こえた途端、
私はもう我慢ができなくなって、
「ぅうう……っ」
両手で顔を覆いながら
その場にくずおれてしまった。
そんな私を咄嗟に強く抱き竦めて
「睦えらかったなぁ…!
よくがんばったよ、えらかった」
宇髄さんは思い切り褒めてくれる。
ひどく、
「ぅう、うう…っ」
喉の奥が痛い。
我慢した色んなものが詰まってるみたいで。
「もういいよ、大丈夫だ。
ごめんな我慢させて…
ツラかったな睦、ごめんな」
そうだよ、宇髄さんが我慢させるから。
だから私
余計な事を言わずに済んだよ。
だけど、
だけどね、
「もっと、ずっ…と一緒に、いたかったよぅ…
そばに…いてほしかったよぅ…っ」
私はもう黙ってはいられなかった。
おとなしく涙を流すことなんか
出来なくなっていた。
自分が我慢させた事への負い目からか
宇髄さんは私を隙間なく掻き抱き
「そうだな、」
私の言葉をまるまる受け入れて
何度も頷いてくれる。
「さよなら、したくなか…た…
い、しょに…いき、たか、たよぉ…」
「あぁそうだよな、
ごめんな、行かせてやれなくて。
引き止めてごめんな睦」
「うあぁああん…っ」
宇髄さんは何にも悪くないじゃない。
なんで謝るの
お父さんも、なんで謝るの…
優しくされたら
余計に泣けてくる。
私は場所も弁えず
宇髄さんに縋り付いて泣いた。
近所の人は、きっとびっくりしただろう。
でもそんな事すら構わずに
大声で泣き叫び続ける私を
宇髄さんはただ抱きしめてくれた。
「ぅあぁああん、あぁああ…っ」
このまま泣き続けたら
また元通りになるかなぁ?
この涙は、悲しみも痛みも
全部を流してくれるかなぁ…?
堕とされて、引き上げられて…
また突き落とされた私は
もう浮上できる気がしなかった……
☆彡