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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第5章 覚悟 進むべき道


ゴプン

(…また、この暗闇…)

六華は深い暗闇の中に居た。これは以前にも見たことがある光景だ。

(上も下も分からない闇…)
(…六華!)
(!?)
(戻りなさい。あなたの居るべき場所へ)
(待って!あなたは誰ですか!?)
(戻りなさい、六華)
(待って!!)

「六華!!」
『!?』

深い闇が晴れ、六華が意識を浮上させると自分の名を呼ぶ声が聞こえた。

『…杏寿郎、さん…?』
「六華、よかった…」

声の方を向くと、いつもの凛々しい眉を下げ心配そうに自分を見つめる杏寿郎がいた。

『私…』

少しずつ意識を失う前の記憶を思い出し、六華は飛び起き杏寿郎の腕を掴んだ。

『龍くんは!?店主さんや奥さんは!?』
「…」
『杏寿郎さん!!』
「…すまない。間に合わなかった…」
「そんな…」

杏寿郎を掴んでいた手が静かに落ちた。

「六華…」
『何も、出来なかった…私は…何も…』
「…っ!!」

静かにそう呟く六華を見て、杏寿郎は六華を抱きしめた。何故かこの少女を守らねばならない。この場に引き止めなければならない。そうしなければ、今自分の腕の中で震えているこの少女は消えてしまう。そう思ったからである。
コンコン
扉を叩く小さな音が聞こえた。

「目が覚めたようですね、よかったです」
「胡蝶」
「少し診察させて貰えますか?」
「あぁ、頼む」

そうして部屋に入ってきたのは、蝶の髪飾りが印象的な2人の女性と少女であった。

「初めまして柊六華さん。私は胡蝶カナエと申します」
『胡蝶様…私は柊六華と申します。あの、胡蝶様が手当を?』
「カナエでいいですよ。手当は妹のしのぶが。珍しく煉獄さんが蝶屋敷に来て、あなたを診てほしいとのことだったので。お話は伺っています。大変でしたね。気分はどうですか?」
『いえ、特に問題ありません』
「そうですか、よかったです。また何かあったらすぐに教えてくださいね」
『ありがとうございます』

六華がそう言うとカナエはふわりと笑った。

「もうお屋敷の方に戻られても大丈夫ですが…あら?」

ふとカナエが窓に目を向けると、1羽の鴉が窓辺に降り立った。

「お邪魔しますよ」
「これはお館様の鎹鴉」
「主からの伝言です。煉獄杏寿郎、柊六華、共に産屋敷邸まで参られたし」
「お館様が?」
「カァ〜、煉獄慎寿郎も召集済み、産屋敷邸に参られたし」
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