第5章 これが私たちの世界です
「な、なん、で…!」
『…言っとくけど、あたし芹佳と縁を切るつもりないわよ?』
「ーーお父様が動いたら…家庭崩壊、しちゃうかもよ?」
『家庭崩壊なら既にしてるわよ、これ以上ないって程ね』
「…弟のアキくんに被害が行くかもよ?」
『その時は、責任とって芹佳があたしたちと暮らせばいいわ』
「なんって理不尽な」
『今に始まった事じゃないでしょ』
“確かにそうだ”、と軽く息を吐いて笑えば
紗耶も、いつもと変わらない笑みを見せてくれた。
『仲直りは済んだ?』
『そうね、済んだみたいよ。ね、芹佳?』
「…うん!」
『じゃ、解決したところで今日はどうする?泊ってく?帰るなら送ってくけど』
「…私は、帰りたくない、です…」
『紗耶はどうする?』
『芹佳を狼の群れに一人残して帰れるはずないじゃな「ーーっ!紗耶、愛してる!!」
『あら嬉しい。あたしも愛してるわよ』
『さ、丸井、忍足。何か簡単につまめる物作って』
『何で俺ら指名やねん』
『君らが一番料理上手いから。あ、それとも僕が作ろうか?』
『『いや、いい。不二のアレ(激辛)は料理じゃ(や)ない』』
ブンちゃんと侑士のハモッた声に私たちは二人で笑った。
確かに、周助が料理作る姿はカッコいいけど、
できた物体は食べれたもんじゃないからね、辛過ぎて。
「私も手伝うよ」
『えぇよ、姫君たちは座っててや』
「…お願い、何かしてたいの」
『じゃ、芹佳は俺の方手伝って』
「あ、うん!」
『なら、あたしは侑士の方を手伝うわ』
「ブンちゃん、何作るの?」
『芹佳は、何食べたい?』
「…ブンちゃんが作るのなら、何でも好き」
その後、二人が作った料理を食べながら
騒いだ私たちはそのまま眠ってしまったのだった。
放棄したくないから
(あなたとの関係を失いたくないから、私にもう一度ーー…)